ゆけむり温泉ゆあたりバテバテ

え〜、昨夜泊まった温泉宿は、「昭和」を絵に描いたような*1大ホテルでありまして、建物が4つも5つもあって、土産物屋、カラオケスナック、ゲームコーナー、屋台街などがずらりと並んでいて、大層驚いたことでありました。たぶん日本中の有名観光地には似たような規模のホテルはいくらでもあるのでありましょうが、ふだんの旅行ではビジネスホテルにしか泊まらないので、生まれて初めての経験だったので御座います。
さて、カラオケスナックもゲームコーナーも別に興味を惹かれることはありませんでしたが、やはり温泉宿といえば温泉を無視するわけにはいかないでしょう。あてがわれた部屋は幸い布団部屋ではなく、ちゃんとトイレ・バスつきではありましたが、洋式バスは日本人には使いにくいものでして、同じホテルに温泉があればそちらに向かうのが理の当然というものであります。で、ホテルの案内地図を見ますと、なんと6箇所に温泉があるでは御座いませんか! 露天風呂4箇所、内風呂2箇所、すべて源泉かけ流しだそうで、地図の裏は温泉巡りのスタンプ用紙になっているのでありました。
なんという馬鹿馬鹿しさ!
これは全部巡るべし。そう硬く心に決めまして(中略)3時間かけで6箇所全部入り終わったときには、体に腐った卵のような匂いが染みついてしまっていましたとさ。

*1:昭和後期に国内観光旅行のブームが起こり、全国各地に団体客を目当てにした馬鹿でかい観光施設が大量発生した。その後、海外旅行の一般化、嗜好の多様化などにより、団体観光ツアーは徐々に下火となり、今では全国各地で廃墟またはそれに近い状態のハコものを見ることができる。この説明はかなり大雑把なもので、昭和30年代の国鉄急行増発期と昭和50年代の観光バス全盛期は区別して論じる必要があるのだが、この短い註釈ではそこまではできない。