周回遅れ

このライトノベルがすごい!2007

このライトノベルがすごい!2007

出遅れた。
あちこちの紹介文や考察記事を見てみると、興味深い視点や論点はあらかた出つくしているようだ。で、こんなこともあろうかと思って、このネタは絶対に誰ともかぶらないに違いないと確信を持って言える話題を予め考えてあったのだが、いざ書こうとして、念のために某氏のサイトを覗きにいったら、先回りしてその話題に言及してネタ封じされていた。よ、読まれてる……。
絶望した。
しかしまあ、考えてみれば他人に先駆けて何か面白い話題を見つけて書くのはいつだって難しいもので、出遅れて時機を逸してしまうのは今回に限ったことではない。たとえば「このラノ」繋がりでいえば、一昨年の1位の「涼宮ハルヒ」シリーズも昨年の1位の「戯言」シリーズも最初の巻が出た直後に読んではいたのだが、これらが一大ムーブメントを引きおこすとは全く想像もできなかった。
今回の『狼と香辛料』も同じで、1巻が出たときにはさほどプッシュする気もなくて、電撃大賞の他の受賞作と併せてごく短い感想文を書いただけだった。ところがネット上でどんどん人気が高くなっていくのを見るにつけ、この流れに取り残されてはいけないかもしれないと思うようになった。何とも主体性のないことだが、もともとライトノベルに対する見識も嗅覚も持ちあわせていないので、他人の意見に流されてしまうのは仕方がない。そんなわけで、1巻がネット上で話題になりはじめてから徐々に軌道修正してさりげなく『狼と香辛料』への言及回数を増やし、あたかも最初からこの作品に注目していたかのように装うことにした。今から考えれば、そんな面倒なことをしなくても日付を遡って感想文を書き足せばよかったかもしれない。さらに言えば、こんなことを大部分の読者は気にもとめていないのだから、好きなときに好きな本を読んで好きなように感想文を書くのがいちばん、ということになるのかもしれない。
あ、だんだんウェブにおける読書感想文のあり方、というテーマにシフトしてきた。これはこれで興味深い話題なのだが、今日は「このラノ」の感想を優先することにしよう。話を元に戻す。
このラノ」を読むと、読者のコメントが多数引用されていて、それぞれの人のスタンスがわかって面白い。それ以上に面白いのがコメントの後に付記された年齢だ。「ああ、××××さんって26歳だったのか! ××さんより2歳も年上じゃないか」というような新鮮な驚きがあった。