緩行旅行

わけあって、週末に天橋立に行くことになった。
天橋立といえば、日本三景筆頭、古くから名勝の地として知られている。若い人はあまり興味がないかもしれないが、中高年の人にはよく知られた観光地だ。ただし、観光が目的で行くわけではない。仕事関係でもなく、当地に住む人を訪ねるわけでもない。用件は秘密だ。秘密にするほどのことではないが、何もかも書いてしまってはつまらない。
さて、観光が目的ではないと書いたばかりだが、せっかく天橋立に行くのだから観光っぽいこともしてみたいとは考えている。
昔は旅行といえば鉄道に乗ることが至上課題で、観光地のすぐ近くを通りかかっても列車ダイヤ優先でろくに観光などしたこともなかったが、としをとると趣味嗜好に変化が生じてくるものだ。時刻表を繰って検討したところ、「青春18きっぷ」と北近畿タンゴ鉄道の「まるごと丹後乗り放題きっぷ」をフル活用すれば、北近畿タンゴ鉄道全線完乗しつつ所用をこなし、日帰りが可能だと判明したが、それでは高台から天橋立を見下ろして「股のぞき」をする時間がとれない。いや、別に「股のぞき」を何が何でもしてみたいと切望しているわけではないが、鉄道に乗ってばかりの旅行は味気ない。だいたい完乗がなんだというのだ。そもそも「完乗」なんて言葉、ATOKの辞書にも登録されていない*1じゃないか。乗りつぶしなどという無意味かつ空虚な行為は鉄道マニアに任せておけばいいのだ。
そこで、再度時刻表を繙き、あれこれ考えた結果、厳密なスケジュールを立てずに、天橋立の滞在時間を長くとって、その場で気の向くままに行動することにした。おお、なんと贅沢なことか。
もっとも、全く無計画というわけでもない。いちおう、いくつか考えていることはある。たとえば、日本三景天橋立ビューランドのモノレールとリフトに乗ったり、天橋立ケーブルカー・天橋立リフトに乗ったりすることなど。できれば、両方とも上りと下りで乗り物を変えて、ケーブルカー、モノレール、リフト2種を完乗したいものだ……あっ!

*1:ちなみに、今回の見出しで用いた「緩行」も一般的ではないと思うが、こちらは辞書に登録されていた。