「文学少女」の背任

以前から、「文学少女」シリーズ*1に対して漠然と感じていた違和感*2を、この記事が言語化してくれているように思った。
「背任」という言葉はあまり穏当ではないので、人によっては*3感情的に反発するかもしれないが、別に「背任」そのものが悪いことだと言っているのはよく読めばわかる。間延びした言い方で恐縮だが、「先立つものの精神を継承しているかのように見せかけて、その実、オブジェ化して操作しているということ」とでも言い換えればいいだろうか。「換骨奪胎」とか「本歌取り」という言葉もあるが、少しニュアンスが異なるように思う。
なお、リンク先の記事の後半では「狼と香辛料」シリーズ*4についても同じ観点で分析を試みているが、このシリーズには先行作品への明示的な言及がない*5ので、「文学少女」シリーズとは少し事情が異なるのではないかと思う。

*1:この日記を読んでいる人の大部分にとっては自明のことだと思うが、いちおう念のために説明しておくと、「文学少女」シリーズとは昨年刊行された『“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)』から始まった人気シリーズで、現在までに3冊出ている。

*2:あ、「違和感を感じる」だ!

*3:とくに「文学少女」シリーズのファン。

*4:この日記を読んでいる人の大部分にとっては自明のことだと思うが、いちおう念のために説明しておくと、「狼と香辛料」シリーズとは「文学少女」シリーズと同じく昨年刊行された『狼と香辛料 (電撃文庫)』から始まった人気シリーズで、現在4巻まで出ている。

*5:強いていえば、タイトルが『金と香辛料―中世における実業家の誕生』のもじりだということが先行作品への言及といえなくもないが……。