どっちを信用すればいいのでしょう?

 山頂の高さも、山すその広さも、それぞれに違っているだろう。また見た目に美しい山もあれば、貧相に見える山もあるだろう。すべてに共通して言えることは、とにかく登ってみなければわからない、ということだ。

 山に登る。変わりばえのしない景色や、そこらに落ちたゴミや、あるいはほかの登山客のマナーの悪さにうんざりする。途中で疲れきって、何て下らない山だと思いもする。

 しかし、そうやって苦労して山頂にたどり着き、素晴らしい景色を見出してみると、山頂も裾野もふくめた山そのものが好きになる。ある文化を好きになるということは、そういうことなのだと思う。

 単純に効率だけを考えるなら、わざわざ山を登るなんて無駄なことだ。ヘリコプターで山頂に下りて存分に眺めを楽しめばいい。でも、あえて労力を払った人間にしかわからない感慨がある。

 たしかにその業界におけるあらゆる話題に習熟する「博物学的オタク」であるためにはこの手の問題作もチェックしている必要がある。

 しかし、純粋に作品そのもの出来をかんがえてみれば特に見るべきものはないことも事実。だから効率をかんがえるなら、一定以下の品質の作品、特に好きではない作品はどんどん切っていくのが能率的だと思う。

【略】

 現在、オタク的と評される作品はじつに多岐にわたっているので、それぞれのジャンルの上位3%くらいだけたのしむようにすればいい。

 濃くも深くもない、しかし広く豊かなつまみ食いオタクライフである。