ブックリストは黙して語らず

角川文庫恒例の夏の百冊のリストを見たのだが、最近の売れ筋の中にちらほらロングセラーが混じっているという感じで、いったいこの百冊で何をしたいのかがよくわからない。
明らかに系統だった読書で教養を高めるという発想ではないし、かといって乱読派向けにしては同一著者の作品が複数含まれているなど偏りがある。このリストからは、いったい何が売りたいのかが見えてこないのだ。角川文庫*1の中から選ばなければならないという制約はあるにしても、もう少し工夫できるのではないだろうか。
……と思ったのだが。
よく考えれば、全国の書店で一斉に行うフェアなので百冊それぞれについて相当な部数を確保しておかないといけないし、このフェアだけのためにあまり売れない本を増刷して在庫を抱えることになると大変だから、現在品切れの本はもちろんのこと品薄の本もナインアップに加えることができず、その結果、このような「ふつうの書店で常時置いているような本ばかり集めた百冊」になってしまったのだろう。
この種のフェアだと、新潮文庫の百冊が有名だが、さて、そっちは今どうなっているのだろう? 昔は古典から現代までそこそこバランスよく揃っていたように記憶しているのだが……。

*1:スニーカー文庫ビーンズ文庫を含む。