太ったフェル博士より痩せたツイスト博士たれ

というわけで、『狂人の部屋』を読了した。
いやはや、これは傑作だ。
無茶苦茶なバカトリックがひとつあるのだが、その無理をさまざまな小道具で誤魔化してしまう技巧が何といっても素晴らしい。複数の人物の思惑が複雑に入り組んで事件が錯綜するというカーの得意技も再現(?)されている*1し、ラストシーンは『帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)』へのオマージュになっている。
ああ、生きていてよかった。

*1:従って、読者に挑戦するタイプの厳格なパズラーを期待した人には不満がのこるだろう。もっとも、アルテにそんなものを期待する人がどの程度いるかは不明だ。