“文学少女”と時載りリンネ

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

2冊続けて読んだので、まとめて感想を書く。
両方とも本を食料にして生きる少女がヒロインだが、それが理由で続けて読んだわけではない。「文学少女」シリーズは新刊が出れば必ず読んでいるし、『時載りリンネ』のほうはコミケ前後に会った複数の人が薦めていたので、具体的な設定は知らないまま、そのうち読もうと思っていたものだ。

“文学少女”と慟哭の巡礼者』の感想

このシリーズはネットのラノベ系読書サイト界隈では非常に評価が高いのだが、個人的にはさほど凄いとは思っていない。毎回、名作文学が題材になっているのだが、元ネタと読み比べてみるとどうしても見劣りするのと、内容がメロドラマっぽすぎることと、不必要なまでに陰惨なエピソードが出てくるのがあまり好みではないからだ。と言いながらもこれまでずっと追いかけてきたのだから、決して嫌いなわけではない。
今回はシリーズ当初から名前だけは出てきていたボスキャラがとうとう姿を現すわけだが、その病み方は驚くほど意外性のないもので、ここまでずっとひっぱってきたのはいったい何だったのだろうと逆に驚きを感じたほどだった。でも、ただ俗っぽいだけではなくて、ところどころにちょっとした捻りがあったので、何とか鼻につくかどうかぎりぎりの少し手前で留まっていたように思う。
本篇はあと1冊でそろそろ*1終わりだそうで、いよいよこのシリーズ最大の謎、すなわちストーリーと全く関係のない“文学少女”の特殊設定の秘密が明らかにされるようだ。ここまできたら最後まで読み切ってやろう、と堅く心に誓うのであった。

時載りリンネ! 1』の感想

新人の第1作なので、ところどころぎこちないところもあったけれど、全体としては楽しく読めた。
ヒロインの名前は「輪廻」に由来するもので、そのことは弟の名前が「ねはん」だということから容易に推察できるのだが、なぜかずっとカール・フォン・リンネから取ってきた名前だと思いこんで読んでいた。ああ、こんなことはどうでもいいですね。
どうでもいい話をもうひとつ。作中に「大通公園」という名前の公園が出てくる。近くに時計台があるそうなので、たぶん舞台は札幌なのだろう。冒頭付近の大通公園の場では12ページで「平和だ」、15ページで「すごく平和だつたね」と、二度も「平和」という言葉が使われていて、北海道出身のこの人のことを連想した。

*1:コメント欄で指摘を受けたので訂正します。