人と価値観と魔王

全然関係ない話。
少し前に話題になったライトノベルがある。「泣ける!」とか「感動した」という感想をあちこちで見かけたものだ。その小説をある人が読んでこんな感想を漏らした。
「『泣ける話』だと評判だったので読んでみたら全然泣けない話だったので、泣けてきた」
また別の話。
もう10年以上前のことだが、読者が被害者になるという趣向を売りにしたミステリが出版された。同趣向の作品としてはフレドリック・ブラウンの古典的名作があるので、それと同じことをあえてやろうというのだからよほどの自信作なのだろうと期待してミステリファンがこぞって読んだ。読後、あるマニアがぽつりと言った。
「読者が被害者だった……」
えっと、「全然関係ない話」と言いながら関連づけてやろうと思っていたのだけれど、どうやっても結びつかないことに気づいた。ごめんなさい。