愛はさだめ、さだめは眠りと兄弟

高名なユーモアエッセイスト土屋賢二お茶の水女子大の教壇に立ち、ソクラテスが美青年に迫ったときの口説き文句をテキストとして学生と熱い議論を交わした記録。
書店で最初のほうをぱらぱらと読んで、海燕氏向きの本だなと思い、紹介するために買ってきた。でも、読み進めてみると、海燕氏好みのジェンダーとかセクシュアリティの話題がほとんど皆無だったので、やや拍子抜けした。
人格の同一性とか心身問題とかの話は面白かったけれど、海燕氏はあまりそっち方面に興味はないだろうし、薦めても仕方がないと思って取り上げなかった*1
でも、この記事を読んで、もしかすると意外と『もしもソクラテスに口説かれたら』は海燕氏にとっても興味深い本かもしれないと思い直して紹介してみることにした。
かなりこみ入った議論が展開されているので手短に要約するのは簡単ではないし、そもそもこれは要約を読んで満足するような本でもない。だから内容の紹介はしないけれど、海燕氏および海燕氏の日記に関心のある人に強くお薦めしておく。
少し値が張ると感じる人もいるかもしれないが、この本を買えば必ず何かを得ることができるに違いない。「何も得るものはなかった」と思ったとしても少なくともこの本は得ているのだから。

*1:よく考えれば、この日記で言及する分には海燕氏の好みだろうが好みでなかろうが別に差し支えはないのだが、もともとの購入動機が海燕氏に薦めるためだったので、そのきっかけに思考が方向付けされてしまっていたらしい。