ネガティヴな話題に触れるとうきうきしてきませんか?

地方を殺すな!―ファスト風土化から“まち”を守れ! (洋泉社MOOK)

地方を殺すな!―ファスト風土化から“まち”を守れ! (洋泉社MOOK)

副題からもわかるとおり、三浦展が『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』で示した「ファスト風土」というキーワードをもとに、地方の中心市街地の衰退と野放図な郊外開発に関するルポをまとめた本だ。表紙には、その三浦展のほか、大西隆や藻谷浩介などその筋の有名人の名前が並んでいる*1が、いずれも聞き書きで、特に目新しいことを言っているわけではない。『逆都市化時代―人口減少期のまちづくり』や『実測!ニッポンの地域力』を読んでおけば十分だ。むしろ、無名のライター*2のルポ記事のほうが読みごたえがあった。ところどころ筆が滑ったのか、憶測で物を言っているような箇所もあったが、その分熱がこもっていて読んでいて昂奮した。
でも、この本で書かれているような主張は「自由のためなら破滅をも辞さず」という考えの人には通用しないだろうなぁ、とも思う。また、復古主義者に都合のいいところだけつまみ食いされてしまう恐れもある。どちらに転んでも日本の未来は暗い。いや、日本に限ったことではないかもしれないけれど。
そう考えると、なんだか気分が楽になる。お先真っ暗なのは自分だけではないということに勇気づけられるのだ。
先行き不安な人にお薦めの一冊。

*1:もうひとり、大林宣彦の名前もあった。

*2:失礼!