少子千万

この見出しは「しょうしせんばん」と読んでください。「千万」は「千客万来」の略のつもりです。無茶ですが。

これを読んで今から20年近く昔、バブル経済真っ盛りの頃のことを思い出した。当時はまだ子供だったので実体験ではないのだが、近所に就職活動中の人が住んでいて、こんな話を聞いたことがある。

  • 会社の資料を請求すると、時刻表のように分厚いパンフレットが山のように届く。
    • 読むだけ無駄なのでちり紙交換に出して、トイレットペーパーと換えてもらいウハウハ。
    • 食品メーカーなどだと試供品も同封されていることが多いので、美味しくいただく。ウハウハ。
    • 会社案内ビデオは中を見ずに消してアニメの録画*1に使う。ウハウハ。
  • 会社説明会も面接もすべて旅費つき。
    • グリーン車に乗って高級ホテルに泊まっても全額出してくれるのでウハウハ。
    • というか旅費は自己申告で領収書の必要もないのでウハウハ。
    • 東京に一週間連泊して毎日5社ほど回り、そのすべてから交通費・宿泊費をせしめてウハウハ。
  • 中小だと一次面接から、大手でも二次面接になると、ホテルで食事させてくれてウハウハ。
  • まだ内々定も出ていない段階から歓迎会が開かれる。もちろん費用はすべて会社持ち。ウハウハ。
    • 一次会はみんな揃って居酒屋かバーでウハウハ。
    • 二次会はカラオケへ行ってウハウハ。
    • さらにその後、人事担当者が個別にピンク色の街へ……。ウハウハ。
  • 内々定の段階で支度金が5桁、内定だと6桁。ウハウハ。
  • 絞れるだけ絞って、最後は電話一本「公務員試験受かりました」ですべてチャラ。ウハウハ。

個人的にはあまりウハウハではない項目も混じっているが……それはそれ。
その後、バブルが崩壊し、どん底就職氷河期が訪れ、ひきこもりとニートとネット難民があふれる格差社会ジニ係数がどうたらこうたらという世の中になったらしいが、最近、東京都内の一部では不動産価格が急上昇する局地バブルが発生しているという。そのせいなのか、少子化の影響なのか、いまや空前の売り手市場なのだとか。
狭間の時期にあくせくした世代としては何か不条理なものを感じるが、資本主義とか市場経済などといったものはもともとそういうものだから、まあ仕方がない。
なに、長い目で見ればみんな右肩下がりだ。原油埋蔵量も日本経済も人の余命も。

*1:30分テープが多く、1時間もののドラマなどの録画には適さなかった。