逆転の発想

たとえば誘拐事件の身代金を払う場合など、ドラマではお札の大きさに切った新聞紙の束のいちばん上に1枚だけ本物のお札をのせた見せ金を使うのをよく見かける。ある時、いったいどういうきっかけだったのかは忘れたが、その見せ金を逆にしてみるとどうなるだろうかと考えたことがある。一見するとお札の大きさに切った新聞紙の束のようだが、実は本当の新聞紙はいちばん上の1枚だけで、残りはお札を束にしたものだ。
「おい、約束の1億円は持ってきただろうな」
「ああ、このアタッシュケースの中だ」
「中を確認するからケースを開けろ」
カチャッ(ケースを開ける音)。
「何だ! これは新聞紙じゃないかっ!」
「慌てるな、新聞紙は表面だけだ。1枚めくればあとは一万円札ばかりだ」
「なんだ、びっくりさせやがって。この、お茶目さん。あはは」
「うふふ。ひっかかったねっ!」
……というようなほのぼのとした雰囲気を醸し出す効果が期待できるのではないかと思う。
でも、失敗して気まずくなっても知らないので、実行する際には自己責任でどうぞ。