切れ長の瞳にロングヘア

少年少女科学倶楽部「スタッフ萌え」カテゴリーから。

ただ、「本気」の象徴であるはずの森丘さんが実質的に一線を退いたり、その担当だった「荒野の恋」が移籍したりしている中でこういうことがあると、正直「ファミ通文庫は大丈夫?」と思ってしまう。

や、『荒野の恋』の担当は別人だったはず。
幸い、ファミ通文庫の桜庭作品はミカン箱に収納せずに本棚に並べてあったので確認してみた。うん、間違いない。
このあたりの事情を書いたエッセイが「ミステリーズ!」に載っているのを思い出したので発掘*1してきました。

ミステリーズ!VOL.13

ミステリーズ!VOL.13

ミステリーズ!」には「私がデビューしたころ」というコーナーがあって今も続いているのだが、この号では桜庭一樹が「たった今の出来事」と題する非常に興味深い*2エッセイを寄稿している。まだバックナンバーがあるようなので、気になる人は入手されたい*3が、こそっとさわりだけ紹介しておこう。

「さぁ、やるわよ」
と、彼女は言った。そのときがわたしたちの初対面だった。彼女は切れ長の瞳にロングヘアをした、なかなかに美人の編集者だった。いまを去ること四年前、二〇〇一年冬のことだ。

続いて、桜庭一樹のデビューが1999年であること、その後2年間1冊も本が出ないまま担当が4人も替わったこと、そしてファミ通文庫編集部に配属されたばかりの「彼女」*4が5人めの担当として現れたこと、などが語られる。「さぁ、やるわよ」というのは本を出すという意味で、「彼女」の言葉のとおり翌2002年1月に『君の歌は僕の歌―Girl’s guard』が出た。
その打ち上げの場で

「桜庭さん。ひとつだけわたしと約束して」
「うん、なにを?」
「消えないで!」

その後、2004年秋までの約3年間で桜庭一樹と「彼女」のコンビで3冊*5を出している。

そんなある日、わたしはファミ通文庫の打ち合わせのために、新宿駅近くの喫茶店に出向いた。すると彼女のとなりに、なぜか偉い人がいた。彼女はお通夜のような顔をしていた。妙に無口だった。いやな予感がした。

個人的には、この次の段落がいちばん面白いと思うのだが、諸般の事情により割愛する。その後、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 』の出版、それを読んだ東京創元社の編集者との出会い、『少女には向かない職業』の出版を経て現在*6に至ったところでこのエッセイは締めくくられる。
……と、ここまで書いたところで無性に眠たくなってきた。続いてこのあたりの話題に繋げていこうと思ったのだが、眠気には勝てないので断念。中途半端だが仕方がない。
最後に、ファミ通文庫について一言。
「消えないで!」

*1:こっちはミカン箱の中に埋もれていたので。

*2:ただし、興味深いのはファミ通文庫のスタッフに興味がある一部のライトノベル読者にとってであり、「ミステリーズ!」の主要読者であるところのミステリファンの注目を集めるものではない。

*3:全然別の話だが、この号には、のちに『夏期限定トロピカルパフェ事件』に収録されることとなる「シャルロットだけはぼくのもの」が読切短編として掲載されている。

*4:なお、「彼女」を含めて、このエッセイには編集者の具体的な名前は一切書かれていない。

*5:残りの2冊は『赤×ピンク』と『推定少女』。

*6:というのは、もちろん2005年のことだが。