狼と仔牛猟

狼王ロボ シートン動物記 (シートン動物記) (集英社文庫)

狼王ロボ シートン動物記 (シートン動物記) (集英社文庫)

見出しは捩りです。仔牛猟は関係ありません。
昨日、わんだ〜らんどの新刊コーナーで見かけて買った。なんでそんなところにあったのか、全く見当がつかい。
シートン動物記」など子供の頃に読んでいそうなものだが記憶がない*1。いま読むとつまらない本かもしれないと覚悟していたが、意外と面白かった。
この本には次の4作品が収録されている。

  • 狼王ロボ
  • 灰色グマの伝記
  • カンガルーネズミ
  • サンドヒルの雄ジカ

いちばん面白かったのは「灰色グマの伝記」だった。小説家の、見てきたような嘘をつくテクニックが大いに発揮されている。「カンガルーネズミ」は飼育観察記で他の3篇と趣を異にするがカンガルーネズミを妖精に喩えた筆致が見事だ。表題作と「サンドヒルの雄ジカ」は人間と野生動物の対決を描いているが、「狼王ロボ」の最後の一言はどす黒く、「サンドヒルの雄ジカ」のラストの仏陀の悟り(!)*2と対照的だ。
夏休みの読書感想文のネタに困っている人にぜひお薦めしたい1冊だ。

*1:ついでにいえば、「ファーブル昆虫記」も読んだことがない。

*2:本当にそう書いてある。