似て非なるものはよく似ている

突然ですが当方、この夏はミステリ研究/評論書、特に探偵小説研究会(以下「探小研」)の本をまとめ読みしようと思いました。【略】買ったものについてはいちおう目を通すようにしているのですが、探小研関連の著作は、申し訳ないことに未読のそれがけっこうたくさん溜まっています。なぜかと言えば、当方には歯ごたえありすぎ「読み難い」から。探小研の皆さんお得意の(むろん全員ではありませんが)哲学的論理学的ウダウダが、当方はとても苦手【略】なのです。しかし、昨今の本格ミステリ界隈の状況を見るに、当該ジャンルの批評/研究はもはや探小研関係者の独壇場に等しく、その著作を読まずして、本格ミステリのことは何も語れないというイキオイ。【略】

そういうわけで。比較的読みやすそうな1冊を、と取り上げたのは『探偵小説のクリティカル・ターン』(以下「探クリタン」)。会員有志による評論を集めたアンソロジですが、薄めだし、表紙も明るく柔らかい印象だし、知ったお名前もあったしで、なんか読みやすそうかなあと思ったわけです。ところがこれがけっこう手強くて。哲学者の名前がバリバリ出てきて内容が分かったんだか分かんないんだか理解できないやつとか。1冊だけ読んでたいして面白くなかったライトノベルの話が延々続き、感性のズレを思い知らされたやつとか。それはもうスリリングな読書でしたが、今朝ほどようやく読了。ヤデウデシヤとがらにもなくメモを取ったりしていたのですが、直後に書店のカバーを外してみて愕然。ここここここここれッ探偵小説研究会の本じゃないよのさ! なんなのなんなの「限界小説研究会」ッて?【略】