「集落はどう畳まれてきたか」についてのごく簡単なコメント

都市対農山村の構図は確かにある。しかしそのほか、世界対日本・農村対山村・(行政上の)町村内での中心対周縁・(自然発生的な繋がりの強い群としての)山村内での中心集落対末端集落・集落内の自治意識とさまざまなスケールの構図が見て取れる。都市対農山村ばかりにとらわれていては、見落としが大きいと思われる。

明らかな犯人を「犯人はコイツだ!」と言い続けたとて、どうなるだろうか。やはりそれは責任転嫁や幻想を求めた物言いではないだろうか。もちろん、明らかな犯人に気付いていない人たちに伝える目的では意味があるのだけども。

都市の責任を問い続けても仕方がないというのはその通り。しかし、都市にはもとから責任がない*1と言ってしまうと紛糾するのではないか。過去にとらわれずに将来を描くということは、過去をなかったこととして見ないということと同義ではない。

「高度経済成長期、都市部への挙家離村でムラは根こそぎ消滅した。郡部は破壊された」という教科書レベルの話であれば反証はいくらでも。離村には大都市への移住だけでなく、行政町村中心部や近接する(中核的な)市町への移住、近隣集落への移住がある。話を聞いても、民俗学書を眺めても、廃村から移住してきた家の話は出て来る。

いや、それ「再編」じゃないでしょ。会社が倒産して社員たちが別の会社に就職することを誰も「会社の再編」とは呼ばないのと同じだ。
集落には安楽死の権利と能力があるのだから、他の地方を恨まずに自らそれをなすべきだ、という主張*2なら、そこに「再編」というなんとなく前向きっぽい言葉を持ち込むのはミスリーディングではないかと思う。

参考

前の時の「集落の住民が自ら再編していた」は僕も変に思っていたが、「存続集落への統合」という主旨のことなのか。ただ、実態は他地域へ分散して移住しただけで、それを「近隣集落との再編」とするのは違和感が....

追記

対都市の構図はある、それ以外も見るべきだ→対都市の構図で語らねばならない

過疎が原因でも前向きの再編はあった→過疎が原因だから再編とは呼べない倒産だ

いや、そんなこと言ってませんよ???

*1:「責任転嫁」とは「もともと責任のないものに責任を押しつける」という意味だと解する。

*2:感情的には反発もあるだろうが、これはこれで検討に値する考え方だとは思う。