16世紀の英国では羊が人を食い殺し、21世紀のアジアでは椰子が人を食い殺す

 食糧を輸入に頼っている国々は、原油・食糧価格の高騰、バイオ燃料ブーム、そして急激な景気減速の中、自国民の食糧を確保するための対策に追われている。中でも、耕作地が不足している中国と韓国、オイルマネーで懐が豊かな中東諸国が、アジア・アフリカの農地の権利取得に向けた動きをけん引している。

 スペインに本部を置く農業権利団体「Grain」は、最近の報告書で、「今日の食糧および金融の危機が世界規模の新しい土地収奪を招いている」と指摘した。

 同団体によると、こうして確保された農地の目的は、主に「本国の食糧安全保障を念頭に、本国で消費するための作物を栽培するため」と「ヤシ油やゴムなど、経済的利益を得るためのプランテーションを設立するため」の2つに分かれるという。

「こうした傾向により、世界で最も厳しい貧困と飢餓に見舞われている国々の肥沃な農地が急速に外国企業により統合・私物化されている」と、同団体は警鐘を鳴らしている。

これを読んで「正当な商取引で土地の所有権が移転することに何か問題でも? 貧困? 栄養不良? なに、長い目でみれば、彼らはやがて死に絶えるから問題ないさ」と言う人もいるんだろうな、と思うとぞっとする。

shoot_c_na 食, 海外, 経済 事例として韓国が上がってるけど、あそこは出遅れた例であって、日本もすでに商社なんかが国内耕作面積の倍だかの土地を確保済みなんだよな。仮想水問題はこれからもっと大きくなるよなぁ 2009/01/11

ああ……。
ところで、日本が買う側というだけでなく、買われる側になる可能性はないだろうか? 相対的にみれば日本は裕福な国だが、日本の農家が裕福なわけではない。今は農地売買に厳しい規制がかかっているから外資が買い占めることはできないが、たとえば株式会社の農地所有が解禁されたときにはどうなるのだろう? 衰退産業だった農業の復活と引き替えに栄養失調と飢餓が日本列島を襲いかかるということはないのだろうか? これが杞憂ならいいのだけど……。