『オリエント急行の殺人』と密室殺人

きのう、「うみねこのなく頃に」の感想文の中で

「あなたは密室殺人を扱ったクリスティの小説のタイトルを挙げられますか?」

と書いた。すると、

CAX クリスティの密室殺人と聞いたらこちらを思い出した(ISBN:9784151300103)/関係ないけど、そろそろ芹沢達也(芹沢さん)はツンからデレへの移行期に入りそうな気がする。 2009/02/19

というブコメがついた。その前半部分について、元記事の追加という形で書いておいたのだが、「続きを読む記法」のせいで「うみねこ」未プレイの人には読めないから、ここに再掲しておくことにする。

ブクマでクリスティの密室ものとして『雲をつかむ死』が挙げられていた。実は、「うみねこ」プレイ中には『ポアロのクリスマス』より先に『雲をつかむ死』*1を連想したのだが、『雲をつかむ死』の密室状況はいくつかの条件が重なって成立したもので、単純明快な「密閉された部屋」ではない*2ため、よりスタンダードな密室状況を扱った『ポアロのクリスマス』に言及した。ちなみに密室系不可能犯罪作品リスト(海外編)−試用版−にはクリスティの作品は5タイトル掲載されている。

その後さらに、こんなブコメもついた。

Thsc ラノベ オリエント急行殺人事件を挙げるに決まってるじゃないですかーッ! 2009/02/19

いや、『オリエント急行の殺人』*3は密室殺人じゃないでしょ、ふつうに考えて……と思ったのだが、それが「ふつう」なのはミステリ読みの発想で、そうでない人にとっては『オリエント急行の殺人』は密室殺人だと考えるほうが「ふつう」なのかもしれない、と思い直した。このことによって、昨日の「うみねこ」の感想文を修正する必要が生じるとは思わないが、いろいろと考えさせられることではあった。

*1:ただし、創元版の『大空の死』のほう。読んだのがそっちだったので。

*2:事件現場の飛行機全体を巨大な「密室」に見立てることは可能だが、その中には被害者以外にも人がいるので、ミステリ用語としての「密室」には当たらない。

*3:一般には『オリエント急行殺人事件』のほうが馴染みがあると思う。映画のタイトルもそうだったし。でも、翻訳ミステリの二大巨頭がどちらも『オリエント急行の殺人』を採用しているので、ここではそれに従う。