いや、それ漢字じゃないから、変体仮名だから
- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/03/10
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7月21日 梅ぼ志
「梅ぼ志」というものをみつける。
こういうの、ときどきある、と思う。
何か、漢字と平仮名が変な風に混ざってるの。
偉いお店の名前などになっていることもある。
たぶん、「うめぼし」のなかに「志」の文字を無理矢理入れているのだが、呪術的な効果があるのだろうか。
「ぼ」はそのままでいいのか。
調べてみると「梅ぼ志飴」というお菓子が見つかった。
初代榮太樓が文久年間に創製した*1のだという。榮太樓という人物が何を考えていたのかはわからないが、少なくとも「うめぼし」のなかに「志」の文字を無理矢理入れたつもりもなければ、呪術的な効果を狙ったわけでもないだろう。単に平仮名の「し」を普通に書いたつもりだったに違いない。
時は流れて、1900年に仮名の字体統一が行われ、いまや変体仮名は書道や看板、商標などで細々と使われるだけになってしまった*2。変体仮名のことなど知らなくても日常生活で困ることはないし、知っていたからといって何も偉いわけではない。
でも。
「漢字と平仮名が変な風に混ざってる」ことに違和感を抱く程度には言葉に対する感受性が鋭い人*3には、「もうちょっと先」を求めたくなるものだ。ちょっと残念。
補足
見出しでは「漢字ではない」と書いたが、上のリンク先を見ればわかる通り、「し」の変体仮名ではなく漢字の「志」が用いられている。たぶん、印刷された品書きなどでも漢字が用いられているのだろう。その意味では「漢字と平仮名が変な風に混ざってる」というのは間違いではない。