Seeing is Believing

「私は自分の目で見たことしか信じない」と主張する人に出くわしたことは未だかつて一度もない。
よく見聞きするのは「『私は自分の目で見たことしか信じない』と主張する人がいるが、それは偏狭/心が貧しい/かわいそうだ」などという主張だ。
まあ、それはともかくとして。
仮に、本当に自分の目で見たことしか信じない人がいたとしよう。その人はたぶんまともな生活を送ることはできないだろう。
たとえば、

  • すべての三角形の内角の和が180度であること。
  • すべての三角形には角が3つあること。
  • かつて三角大福の熾烈な抗争があったこと。
  • 自分が三角形を見ているとき、自分がそれを見ているということ。
  • 自分が四角形を見ているとき、自分が見ているのが三角形ではないということ。
  • 「三角帽子」の作曲者はファリャであること。

などなど、ごくふつうの人が何の疑いもなく信じている多くの事柄が、ただ単にそれらが「自分の目で見たことではない」という理由によって退けられてしまうのだから。
なるほど、それは偏狭で心が貧しくかわいそうなことだろう。
でも大丈夫。そんな人はいないから。
よかった、自分の目で見たことしか信じない人はいなかったんだ!