夕張メロンより甘く危険な秘宝館
追跡・「夕張」問題<財政破綻と再起への苦闘> (講談社文庫)
- 作者: 北海道新聞取材班
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/04/15
- メディア: 文庫
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この本の123ページから引用しよう。
夕張市の財政実態を覆い隠してきた「不適切な会計処理」はいつ、どのように始まったのか。源流をたどると、市の第三セクターが経営する「石炭の歴史村」施設の一つ「知られざる世界の動物館」を舞台とした、ある男の暗躍に突き当たる。
「野生動物の貴重な剥製を寄贈するので、まちづくりに役立ててほしい。二億五千万円という評価額の鑑定書付きだ」
石炭の歴史村の全面オープンを翌年に控えた一九八二年秋、仏像彫刻家、剥製製造師、占い師などと自称する男が、当時の中田市長に申し出た。
男は全国の温泉地などで、性的な展示物で酔客を集める「秘宝館」の立案者としても知られていた。地元道議の紹介だったが、髪やヒゲを伸ばし放題の仙人のような風貌に、市長周辺も当初は不信感を持った。
この男*1の甘言にまんまと乗った中田鉄治市長(当時)は独断で「知られざる世界の動物館」建設を決めたが、実はその剥製は担保に取られている代物だった。夕張市と三セクは不適正経理に手を染め、尻ぬぐいをした。男はコンサルタント業者として「知られざる世界の動物館」に関与するが、事業に失敗して従業員の給料未払いのまま逃亡。ほぼ同時に市長の側近も姿を消した。剥製の鑑定書は男の個人団体の出したものだった……。
かくして夕張市の転落が始まる。なんか絵に描いたような話だ。
「知られざる世界の動物館」はその後「世界のはくせい館」と名前を変えつい最近まで営業していたようだが、いまやグーグルのキャッシュにその痕跡を留めるのみとなっている。
ああ、惜しいことをしたものだ。
ところで、近々こんな本が出るようで楽しみだ。でも、版元のサイトで検索しても出てこなかった。大丈夫かなぁ。
*1:本の中には名前が書かれていない。