高速道路料金引き下げの帰結としての「再編」とは?

上のお盆の高速道路大渋滞に期待する - 一本足の蛸につけられたブクマから。

TakamoriTarou 社会, web, 返事はメタブクマ 休日だけでなく当たり前になってしまえば落ち着くと思うのだが。無料化まで同列批判とは道路交通網を常に意識しなくても生きていける人はいいなと思いました。木の実を取るだけなら根を意識する必要はないもんね 2009/07/19

この「返事はメタブクマ」というのは、たぶん

Thsc 交通, 経済 id:TakamoriTarou 無料も1000円も同罪。公共交通は壊滅、物流インフラたる高速道を頭の弱い自家用車厨が詰まらせる。時限より恒久がましではある。恒久なら交通体系再編が来ざるを得ない。時限なら放り出して惨状 2009/07/19

これに対して後からつけられたものだろう。で、メタブクマを見ると

TakamoriTarou メタブックマーク id:Thsc氏 再編すべきでしょうね。高速道路料金を節約するために渋滞区間でも高速を降りれなかったり、節約のために夜間猛スピードで一般道を長距離トラックが走り抜けたりする現状はなんとかすべき。 2009/07/19

と書いてある。
んー、なんだか論点がずれているような……?
お盆の高速道路大渋滞に期待する - 一本足の蛸で指摘した高速道路料金割引の問題点は2点。

  1. それまでフェリーや鉄道などを用いていた人が高速道路に切り替えることにより、公共交通機関が衰退すること。
  2. 高速道路を利用する自家用車が増えることにより、高速バスやトラックなどの円滑な運行が阻害されること。

この2つの問題点は料金最高1000円という現に実施されている政策でも、無料化でも定性的には変わらないはずなので、上の記事では同列に扱った。長い目でみれば「休日だけでなく当たり前になってしまえば落ち着く」というのはなるほどその通りだが、長い目でみれば少なくとも上記問題点の1は取り返しのつかないことになってしまうだろう*1と懸念している。「道路交通網を常に意識しなくても生きていける人」かどうか*2は、これらの問題点を論じる上で大きなファクターにはならないのではないだろうか。
それはともかく、高速道路料金の割引ないし無料化が恒久的なものになれば交通網の再編が必要になることは両氏とも指摘しているとおりで全く異論はないが、その再編が現状よりよい交通網の実現という形で訪れるのか、それとも一旦崩れた交通需給バランスを建て直すだけのものになるのかはわからない。ただ、目先の渋滞対策のためにバイパス道路の新設や車線増を安直に行うのはやめてもらいたいと思う。長い目でみれば人口減少による交通需要の減少が見込まれるので、過大投資になる恐れがあるからだ。
高速道路を巡る問題にも、交通需要マネジメントやモビリティ・マネジメント*3の考え方を導入する必要があるのではないか。もちろん、都市内や都市近郊の近距離交通を主要な対象とした施策がそのまま高速道路にも適用可能だ、などと言ってしまうと楽天的に過ぎるだろう。しかし、ロードプライシング*4などは高速道路にも適用可能な仕組みだと思われる。

*1:丁寧に論じるなら「公共交通が衰退することはなぜ問題なのか」というところから説明しなければならないが、かなり煩雑な議論になりそうなので、ここでは既存の公共交通の維持存続の大切さを議論抜きに前提として採用している。

*2:ちなみに自分自身の生活環境に照らして言えば、最寄りの駅まで約10km、間をつなぐのは1日4便のコミュニテイバス、通勤には当然自家用車使用という状況なので、道路交通網を常に意識しないと日常生活を営むことはできない。道路交通網のごく一部をなす高速道路についてコメントしただけで、高森太郎氏がなぜ「道路交通網を常に意識しなくても生きていける人」と考えたのか、その根拠を知りたいものだ。

*3:交通需要マネジメント - Wikipedia及びモビリティ・マネジメント - Wikipedia参照。

*4:ロードプライシング - Wikipedia参照。