神託のごとく
- 作者: 羽沢向一,佐藤与志朗
- 出版社/メーカー: キルタイムコミュニケーション
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
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「こういう向かい合わせの座席のことを、なんと言うのか、知っているかい?」
駅から走りだした列車の中で、柳沢喜四郎がいかにもなにげない世間話というふうに、対面した座席に座る二人の美女に質問した。
理紗と泉美は硬い顔を見合せ、そろって同じ答えを返す。
「知らないわ」
「し、知りません」
喜四郎はにこやかな笑みとともに、神託のごとく正解を告げる。
「クロスシートと言うんだ」
理紗と泉美は、また顔を見合せた。上機嫌な男に対して、どう反応すればよいのかわからない。
こういうのを読むと頭を抱えて転げ回りたくなる。ああ、過去の記憶が走馬燈のように脳裏を駆けめぐってゆく……。
*1:実際には、これより後に『天来の美酒/消えちゃった』を読んでいる。その感想文はこちら。