成功事例みんなで真似すりゃ共倒れ
地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)
- 作者: 久繁哲之介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/07/07
- メディア: 新書
- 購入: 23人 クリック: 403回
- この商品を含むブログ (54件) を見る
まず、『地域再生の罠』の「はじめに」から引用。なお、原文の丸付き数字は丸括弧に改めた。
地域再生策のほとんどは、「成功事例に倣う」という発想にもとづいている。この「成功事例模倣主義」には大きな二つの欠陥がある。
(1)専門家が推奨する成功事例のほとんどが、実は成功していない。
(2)稀にある「本当の成功」は、異国や昔の古い話であり、しかも模倣がきわめて難しい。
ここに掲げられている「二つの欠陥」には全く同意する。だが、それが「成功事例模倣主義」の欠陥のすべてではないだろう。もうひとつの大きな欠陥がある。
(3)目新しさや話題性が成功の主要因であるような事例は、模倣することにより陳腐化する。
全国各地のご当地検定とかローカル線の動物駅長とか、誰でも思いつく実例の一つや二つは簡単に挙げられるだろう。
『地域再生の罠』になぜこの指摘がないのかが非常に気になるところだが、あまり詮索しても仕方がないのでこれ以上は踏み込まない。
それはそうと、今の季節、日本全国よさこいだらけというおぞましい現象はどうにかならないものかと思うのだけど、それはまた別の話。