序数を足したり掛けたり平均したり

「六次産業」という言葉を、読者の皆さんは多分まだ耳にしたり、目にしたりしたことはないのではないかと思う。最近、私が提唱しはじめた言葉だからである。

では、「六次産業」とは何か。「一次産業」と「二次産業」と「三次産業」を足し算すると「六次産業」ということになる。

周知のように、産業分類では、一次産業は農林水産業、二次産業は鉱業、建設業、製造業など、三次産業は卸売・小売業、金融業、運輸通信業、サービス業などを指しているのであるが、この三つを足すとはどういうことか、疑問に思われる方が多いと思う。

そこで私の提唱したいことは、「農業における六次産業の創造」、あるいは「農業の六次産業化」というところにある。分かりやすく言えば、これまで農業は農業生産過程のみを担当するようにされてきて、二次産業的な部分である農産物加工や食品加工、あるいは肥料生産などは食料品製造企業や肥料メーカーに取り込まれ、さらに三次産業的部分である農産物の流通や農業にかかわる情報やサービスなども、卸売・小売業や情報サービス企業に取り込まれていたのであるが、それらを農業の分野に可能なかぎり取り戻そうではないか、という提案である。

2)第六次型産業は、農業や林業、漁業という1次産業、農産物加工といった2次産業、そしてサービスという三次産業の連携を言う。その究極の姿の一つが農家(農村)レストランである。別の本では1+2+3=6ではなく1×2×3=6だと書いてあった。だから1次産業が0になれば、答はゼロというのが気に入っている。

第一次産業に付加価値をつけて高度化を目指すという観点では、1.5次産業化に類似しているが、6次産業は加工、流通を複合化させるという視点がより明確である。

(注)本レポートでは、1.5次産業を「第1次産業である農林漁業(農林水産物)に、商工業的な手法で何らかの付加価値を加えたもの」と定義した。また、農商工連携以外に、農林漁業者や商工業者が単独で取組むケースも含めている。