章と条

アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られる中西部のデトロイト市が、18日、慢性的な財政難で資金繰りに行き詰まり、連邦破産法9条の適用を申請しました。

負債の規模は日本円にして1兆8000億円を超え、アメリカの自治体の財政破綻としては史上最大となります。

このニュースはNHKのお昼のニュースで知ったのだが、そのとき「あれっ?」と思ったことがある。連邦破産法自治体破産に関する規定は第9ではなかったのか? 以前読んだ『自治体破産―再生の鍵は何か*1に「チャプター・ナイン」と書かれていたような記憶がある。
そのときは聞き間違えたのかと思ったのだが、上の記事をみると「9」と確かに書いてある。で、調べてみると、米デトロイト市財政破綻、車海外生産で税収増えず  :日本経済新聞では「条」、デトロイト市が破綻、最大級180億ドル超負債 : ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)では「章」とばらばらだ。
連邦倒産法 - Wikipediaでは「章」を用いており、「301条」とか「1104条」とか、やたらと大きな数の条への言及がある。法律原文はどうなっているのか? そこでUSC : Title 11 - BANKRUPTCY | U.S. Code | LII / Legal Information Instituteをみると……日本語ではないので読めない。どうしてアメリカ人はわかりやすくて便利な日本語を使わないのだろう? アメリカは閉鎖的な国家だと思う。
まあ、意味がわからなくても、だいたいの感じはわかる。大きなまとまりの「CHAPTER」があって、その中に「§」という記号に続いて3桁の数字により表された文章がある。日本の法律だと最初は第1条だが、連邦破産法は§101から始まっている。まるでポケミスだ。ともあれ、「CHAPTER」が「章」に「§」が「条」に対応すると考えるのが自然なようだ。
日本法令外国語訳データベースシステムをみると、たとえば破産法 / Bankruptcy Actの「条」は「Article」と訳されており、「Section」と訳されているのは「節」だ。
またこんな記事こんな記事も見かけて、ますます混乱した。
で、結局、冒頭のデトロイト市の破綻のニュースでなぜ「第9条」という表現を用いていたのかはわからなかった。残念。

*1:自治体破産―再生の鍵は何か[増補改訂版]』が出る前に読んだので少なくとも6年以上前のことだ。内容はもうほとんど忘れてしまった。