『分かれ道ノストラダムス』の感想
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で、読了後すぐTitterで次のように呟いた。
今日はみどりの日なので、深緑野分『分かれ道ノストラダムス』を、最初から通して全部読みました。『分かれ道ノストラダムス』の少年少女は『オーブランの少女』の少女たちや『戦場のコックたち』の少年たちと並ぶ印象深さで迫ってきます。傑作。
深緑野分の過去の作品、特に『戦場のコックたち』を読んだ人が『分かれ道ノストラダムス』を読むと、全然雰囲気が違うことに戸惑うかも。でも、世界が綻び壊れていく中で必死にもがきながら生きていく人々を描いていて、決して自暴自棄にも厭世的にもならない逞しさが、深緑野分にはあります。
「傑作」と言うのではなく、傑作であることが伝わるような感想を述べるのがいいのだが、残念ながら『分かれ道ノストラダムス』が傑作たる所以をうまく言葉にすることができない。
で、他の人の感想文や書評を参考にしてみようと思って検索してみた。
…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。
あ、あれ?
『分かれ道ノストラダムス』の感想がヒットしない……。
よってこの感想文はこれにて終了!
……ブウウウ…………ンン…………ンンン…………。
気を取り直して、作者自身のコメントを引いておく。
『小説推理』さんで連載中の「分かれ道ノストラダムス」という、意味不明な小説があります。最初は恋愛小説というお題のはずだったのに、なんでこんな話になっちゃったんだろうっていう。
「意味不明な小説」とはちょっとひどい言い方だが、確かに出だしから中盤にかけては雲をつかむようなところがあって、去年の年末くらいには「この小説、この先どういう方向に進むのだろう?」と首を傾げたことを思い出した。特に連載第1回では平行世界の話題が出る一方で殺人事件が起こっていたので、これはSFなのかミステリなのか皆目見当がつかなかったくらいだ。
最後まで読み終えてみると、ジャンルすら不明なカオス(混沌)の中から徐々にコスモス(秩序)が立ち現れてくるという趣向もあったのではないかと思われるので、先に引用した「意味不明な小説」というフレーズは一種の韜晦ではないかと疑ってみたくもなる。作者本人が言ったことだからと言ってあまり信用しないほうがいいのだろう。
さて、もし『分かれ道ノストラダムス』に「カオスからコスモスへ」という狙いがあるのだとすれば、未読の人に対して「結局、この小説はどういうジャンルに属するのか?」ということを明かすのは好ましくないだろう。これはSFだったのか、ミステリだったのか、それとも別のジャンル小説か、非ジャンル小説なのか……何も言わないことにしよう。
ただ、この小説が青春小説の要素を多く含んでいるということは、言ってしまっても差し支えないだろう。この小説の主人公は間もなく16歳の誕生日を迎える少女であり、彼女が中学生の頃に思いを寄せていた少年の三回忌から物語が始まるのだから。
「青春小説としての『分かれ道ノストラダムス』」という切り口なら、この小説の属するジャンルに触れずに感想を述べることも出来るのではないか、と一瞬思ったのだが、よく考えてみればそれは「青春小説としての『時をかける少女』」や「青春小説としての『タイム・リープ』」について語るのと同じくらい難しいことに気づいた。
よってこの感想文はやっぱりこれにて終了!