読み初め

今年の読書は『真実の10メートル手前』から始める予定だったのだが、ついふらふらとマンガに流れてしまった。後悔はしていない。
年末に知人に勧められて買った本で、作者についても作品についても全く予備知識なしに読み始めた。
SF、ファンタジー系のショートコミック集だが、それぞれ「Part A」と「Part B」がセットになっているという独特の構成になっている。一話限りではなくすべてがそうなっている作品集というのは初めて読んだ。マンガだけではなく小説でも読んだ記憶はない。
この種のアイディアストーリーの非シリーズ作品集は一作一作の考案が大変で、だんだんアイディアが枯渇して面白くなくなることが多い。あるいは、読者が作風に慣れて新味を感じなくなる結果、面白くなくなるのかもしれないが、いずれにせよ高水準を保ったまま続けていくのは至難のわざだ。この本は1巻だから続巻もあるのだろうが、どこまで粘れるものか注視したい。
あと、もう一つ附記しておく。非シリーズの「奇妙な話」の作品集では、変化をつけるために後味の悪いもの、ダークな読み味のものを織り交ぜるのがふつうだが、この本は比較的からっとした明るいエピソードが多く、しかも一本調子ではないことが気に入った。厭な話も悪くはないが、新年早々読むにはこういう本のほうがいい。
今年は幸先のいい読書生活のスタートとなった。まずはめでたいことだ。