電撃ミステリアス文庫
三辺は祝祭的色彩―Thinkers in Three Tips (電撃文庫)
- 作者: 佐竹彬,千野えなが
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/09
- メディア: 文庫
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- 深い理由1
- 本が出たとき、前作『飾られた記号―The Last Object (電撃文庫)』の記憶が甦り、購入をためらった。思い切って買うことにしたのは、しばらく経ってからだった。
- 深い理由2
- ちょうどその頃金庸の『書剣恩仇録』を読んでいた*1ので読み始めるのが後回しになった。
- 深い理由3
- 読み始めてからが長かった。
あまり深い理由じゃないな。
佐竹彬は前作でデビューしたとき森博嗣チルドレンと呼ばれた。*2本人もあとがきで森博嗣の名前に言及していたし、いかにも、な感じのタイトルやエビグラフっぽい短文にも森博嗣の影響はありありと窺える。だが、二作目を読んで連想したのは別の作家だった。
謎めいた探偵役の少年。なぜかその探偵役に関心を示す語り手の少女。表面上の事件の背後に示唆される秘密結社めいた組織。生硬な文体。機械的なトリック。
そう、笠井潔だ。
φシリーズはライトノベル界の矢吹駆シリーズだと言っておこう。
さて、『飾られた記号』の感想と同じく、今回も思いついたことを箇条書きしておこう。
- トリックは前作と同工異曲だが、前作とは状況が異なるので、特に焼き直しという印象は受けなかった。
- 衆人環視下の殺人で容疑者限定が難しいのに、一所懸命ロジックで犯人が特定できるように頑張っているのは素直に評価できる。
- 作中のあるミスディレクションは不発気味。読者を誤導するには、もっとあざとい手法が必要だ。
- いちばんの問題点は飾りの多い文体だ。もっと平易な文章だったら、これほど読むのに時間がかからなかったのだが。
- 「intermission」と題する挿入部が2つ連続する箇所もあり、構成が美しくない。朝倉渚の一人称を基調とするスタイルに限界があるということなのだろう。