非難を浴びせるつもりはありませんが……


こういうことを書くと非難を浴びそうな気がするが、私は鮎川哲也という作家が一部ファンがいうほど凄い作家とは思っていない。同時期に活躍した本格推理作家である高木彬光土屋隆夫あたりと比べたら、ずっと下の方に位置すると思っている。本格ミステリ一本を書き続けてきたことには感嘆するが、逆に他の形式の作品を書けなかったのではないかとも思っている。
「他の形式の作品を書けなかった」というのはちょっと違う。数は少ないものの、幻想小説をいくつか書いている。個人的には「絵のない絵本」こそ鮎川哲也の短篇ベストだと思っているくらいだ。*1それらの幻想短篇を読んだうえで「書けなかった」と評しているのかもしれないが、……。

*1:ただし、これを上位に推す鮎哲ファンは少数だろう。