殺人現場の遺留品を舐めるのはちょっと勇気がいる行動だと思う

変なタイトルだなぁ……と考え込むこと、およそ5秒。「舌」を「タン」と読ませるつもりらしいということに気がついた。*1
料理や食をテーマにした探偵ものはいくつもあり、マンガだと『喰いタン』が有名だが、それは読んだことがないので、設定やストーリーにどの程度の類似があるのかは比較できない。興味のある人は両方読み比べて論じてもらいたい。
さて、『居酒屋舌偵』を読んでみて、土山しげるにしては今ひとつだと思った。一話完結で毎回きちんきちんと話を作っているのだけれど、小ネタ一つを紹介しただけで終わっているという回が多かった。その小ネタというのも、ミステリのトリックというよりは「東京と大阪では鰻のさばき方が異なる。東京は江戸の武家文化の影響で、切腹への連想を避けるめ背から割くが、実利優先の大阪では腹を割く」という類の雑学ネタ*2なので物足りない。
まあ、媒体*3を考えれば、ガチガチのパズラーや驚天動地のアイディアストーリーを求める人もいないだろうから、これはこれで差し支えないのだろうが、今、日本でいちばん面白いマンガと言われる『喰いしん坊!』の作者だけに、期待が大きすぎた。

*1:表紙を見れば小さく「TANTEI」と書かれているのだが、背表紙にはその表記がない。

*2:このネタが実際に使われているというわけではない。念のため。

*3:初出は「週刊漫画ゴラクSUPER増刊」及び「別冊漫画ゴラク」で、単行本はニチブン・コミックス。