感想文についての雑感

  1. 一般論としては読書感想文にはロジックはいらない。論証したければしても構わないけれど、ただ「本を読んで自分はこんなふうに感じた」と書くだけでも足りる。
  2. ただし、「これは駄作だ」とか「こんなのは駄目だ」と言いたいのなら、それなりに説得力のあるロジックが必要となる。これは、反対の意見をもつ人に反論可能性を与えるためだ。言いっぱなしはよくない。
  3. また「○○は××のパクリだ」と主張するのなら、より厳密な論証が求められる。もしかしたら○○は××のパクリではなく、別の△△や□□のパクリなのかもしれない。対抗仮説が提示されたとき「△△や□□なんて読んでいないから知らないよ」などと逃げることは許されない。
  4. これはもちろん、読書感想文でネガティヴなことを言ってはいけないという意味ではない。また、ポジティヴなことを言うならなんでもありだという意味でもない。
  5. なお、ハードルが低すぎてつまらない作品と、ハードルが高すぎて飛び越えられなかった作品は区別しておいたほうがいい。さしあたり、「駄作」という言葉は前者のみに用い、後者を評するには「失敗作」と言っておくのがいいだろう。
  6. ひどい本を読まされて憤慨するのは勝手だが、ひどい感想文を読まされて憤慨する人のことも少しは考えてみよう。