ラーメン断ち

健康診断の結果、精密検査が必要となった。
かかりつけの医者に診てもらったら、「酒と肉、脂に塩を控えるように。それと、食事の量全体を3割減らしなさい」と言われた。
もともと酒は飲まないので、脂っこい料理を大量に食べたのが体調に影響を与えていたようだ。そこで、日常的に最も頻繁に食べていた有害料理を完全に断つことにした。
それがラーメンだ。
最後にラーメンを食べたのは3月25日のこと。日付まで覚えているのは、この日少し遠出をしてラーメンの食べ収めをしたからだ。和歌山の名店、井出商店で食べた特製中華そばが締めの一品となった。
知っている人は知っていることだが、井出商店のラーメンは濃厚な豚骨醤油スープが売りだ。どちらかといえばあっさり系のスープのほうが好みなので、あまりこの種のラーメンは好きではない。でも、最後の一品だから、かえってくどいくらいの味のほうがいい。ねっとりどっぷりとしたラーメンを食べればしばらく食う気が失せるだろう。そう考えて井出商店にした……というわけではない。
たまたまその日、南海貴志川線最後の日曜日で、スタンプラリーに参加して、ついでに貴志川線の全駅乗降を達成したのだった。最後に降りた駅は田中口で、そこからJR和歌山駅に戻る途中に井出商店の前を通りかかったというだけのことだ。全国的に有名な店で締めたのは単なる偶然に過ぎない。
さて、それからはや2ヶ月半が過ぎた。毎日へルシア緑茶を飲むのもろそろ飽きてきた。食事は一日三食、間食は一切しない、ご飯は茶碗に軽く一杯、飲み物は無糖のブラックコーヒーか緑茶、という生活が続いている。先日、99kcalのフルーツパフェという凄まじい代物をミラクルフルーツで味覚をごまかして食べた。甘みへの欲求はなんとか耐えられる。
だが、ラーメンへの憧れは如何ともし難い。日本蕎麦では物足りない。ぎとぎとぬとぬとのスープにシナチクとメンマが浮かんでいるのがいい。シナチクとメンマの違いなど知らないけれど。ナルトは別になくても構わないが、チャーシューは必須だ。しゃきしゃきのもやしとぱりぱりの海苔が載っているとなおいい。麺は太麺でも細麺でも構わない。ふにゃふにゃにのびきっているのは論外だが、ハリガネはもっと嫌いだ。物事なんでも中庸がよろしい。
そろそろラーメン断ちを解除しようか? いやいや、もう一度診断を受けてからだ。それまでは節制を続けなくては。でも一度くらいならいいよね。ほら、ほんのちょっとだけ。スープは飲まずに残すから、さ。
そんな葛藤が日々繰りひろげられている。ああ、いったいどうしたらいいのだろうか?
よし、決めた。とりあえず今月中はラーメン断ちを完全に継続することにしよう。そして来月7月に入ったら一食だけ自分に許可することにする。その一食は大変有難く貴重なものなので、慎重に選ぶことにする。できれば有名な御当地ラーメンにしよう。佐野にしようか、長浜にしようか、いっそ北の大地へと飛んで旭川という手もある。ただいま検討中。