二つの格律の間

「ひとに頼るな」と「ひとりで死ぬな」という二つの格律*1がある。
「ひとに頼るな」という格律を厳密に守るのはたぶん不可能だ。人は他人に全く頼ることなしには生きていけない。よって、この格律は「必要以上に他人に頼るな。自分でできることは自分でしろ」というふうに解釈すべきだと思われる。
「ひとりで死ぬな」のほうも文字通りに受け取るべきではない。別に心中や練炭パーティーを推奨しているわけではない。
さて、「ひとに頼るな。ひとりで死ぬな」というのはまことにごもっともなことだが、この二つの格律を同時に守ろうとすると、ときには苦痛を伴うことがある。どちらか一方または両方を無視すれば苦痛を味わわずにするのに、と思う人も多いだろう。なかなか世の中うまくいかないものだ。
この話には特にオチはありません。

*1:この場合の「かくりつ」は「格率」と書くほうがいいのかもしれない。少し迷ったのだが、人を律することばということが「格律」のほうがよくあらわれるているように思ったので「格律」を採用した。実を言えば「格律」と「格率」の意味の違いがわからない。