英國變物語エロ

語り手の事情 (文春文庫)

語り手の事情 (文春文庫)

「SSMGの人の日記」の感想文で知った本。すんごく面白そうに紹介されていたので是非読みたいと思っていたのだが、近所の書店には置いていなかったので、先日アルペンルートに行く途中で立ち寄った紀伊國屋書店新宿本店で入手した。うきうきしながら2階文庫コーナーから降りて、1階文芸書コーナーのあたりをうろついていると、後ろからとんとんと肩を叩かれた。振り向いてみれば、某読書日記*1の中の人がいてびっくりしたのだが、よく考えればそれとこれとは無関係の話だし、そもそもこの日記では他人に会った話は原則として書かないことにしているのだった。
さて、『語り手の事情』を一言でいえば、ツンデレメイドの話だ。本人は自分はメイドではないと言うが、語り手とはすなわち騙り手でもあるのだから信用していけない。きっと、オムライスの上にケチャップではぁとマークを書いてくれるに違いない。「べ、別にあんたのことなんか何とも思っていないんだからねっ! このオムライスだってレンジでチンしただけなんだから」とか耳を真っ赤にしながら言いそうな感じだ。ところで、冷凍オムライスを解凍するときには中に氷の芯が残らないようにしてほしいものだ。
ええと、この紹介は嘘だから信用しないように。本当は、SSMGの人が書いているとおりだ。感想もだいたい同じだが、そこで引き合いに出されている映画『パプリカ』は見ていないし原作も読んでいないので、かわりに「薬菜飯店」を挙げておこう。特に第3話の爽快さがそっくり。
酒見賢一の小説はほかに『後宮小説』を読んだことがあるだけだが、なるほどライトノベルに親和性の高い作家だと思う。ただ、酒見賢一ライトノベルに越境する必要はないのではないかとも思う。ライトノベル読みが越境すれば足りることなのだから。

*1:ライトノベル系ではない。