底ラ変

「そのあたり」という意味の「そこらへん」という言葉がある。強いて漢字で書けば「其処等辺」となるかもしれない。まあ、ふつうは「そこら辺」だろう。
「そこらへん」を「底ラ変」と誤変換するとは考えられないと思っていたが、実際にやってみると結構簡単に変換できる。「そこ/らへん」と分けると「そこ」の第一変換候補し「其処」ではなく「底」だし、「らへん」は「ラ変」としか変換できない。まあ、底ラ変は使っているIMEや辞書登録状況によっても異なるだろうけれど。
で、いったん印象深い誤変換が起こると、面白がってわざと使う人が出てくる。これはよくあることだ。ぐぐってみると、たぶんわざとやっている例がいくつか見られる。まだ用例は少ないが、そのうちネット発の新語として定着するかもしれない。が、そのまま消えていくかもしれないので、断言はできない。底ラ変夜露死苦
さて、興味深い用例、というか、この言葉を知ったところを紹介しておこう。

 で、いまさら言うまでもなくライトノベルというのはコミックに比べると人件費的には非常に低コストだ。

 だからある程度確実に数字が見込める作家やノベライズを選べば、初回から黒字にすることも可能なわけだ。


 

 そして、ターゲット層はコミック誌と絶妙のかぶり加減をしている。マンガは読むけどライトノベル読まないオタクはいっぱいるっしょ? 底ラ変を美味くやれば、相乗効果も見込める。

「ラ変」とは「ラ行変格活用」の略だが、ここでは「ライトノベル変換」すなわちノベライズということだろう。「底」は「底が堅い」ということのように思われる。あるいは、「マンガ読者層と通するノベ読者層への容」ということかもしれない。
そのうち、「2008年は引き続き底ラ変の傾向が見られ、各社の業績は安定した」とか「我が社の底ラ変戦略のためには、一枚絵で勝負できるマンガ家を複数確保する必要がある」とか「底ラ変ってもう時代遅れの幻想だよね」とか言われるようになるかもしれない。ならないかもしれない。
「底ラ変」とは関係ないのだが、ついでだからライトノベルレーベルの収支決算で紹介されているのと逆向きの戦略*1をやっている人の日記にリンクしておく

追記

さっき見に行ったら「底ラ変」が「そこらへん」に訂正されていた。わざとやったんじゃなくて誤変換だったようだ。

*1:もっとも、ライトノベルとマンガのメディアミックスの推進という点では、同じことと言えるかもしれない。