おやすみヤンサン

おやすみプンプン 3 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 3 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン』を読むと、かつての知り合い、鶴屋氏のことを思い出す。
鶴屋氏は妙なサブカルマンガが大好きな人で、『ムーたち。』とか『貂の家』とかあまり売れてなさそうなマンガをよく薦められたものだ。
例の鶴字法度がきっかけだったのかどうかは知らないが、ある時から鶴屋氏は亀屋と名乗るようになったが、やがて何か大きな博打に手を出して大失敗し、国産大衆車3台だったか4台だったかに相当する損失を被ったそうだ。世に不幸な人は多いが、博才のない博徒はなかでもワースト級の不幸者である。風の噂では、鶴屋氏は最近夜逃げ同然に引っ越しすることになったそうだが、その後の行方は杳として知れない。
ネコ耳スキーのいい奴だった……。合掌。
さて、『おやすみプンプン』もまた、きっと鶴屋氏の薦めがなければ一生手に取らなかっただろうと思われるマンガのひとつだ。確か1巻が出たすぐ後くらいに、名前は忘れたが池袋駅から歩いて数分の雑居ビルの地下にあるマンガ専門店で、鶴屋氏に「これ絶対に面白いからっ! 傑作!」と熱弁されて、ついふらふらと買ってしまった。
読んでみると意外にも鶴屋氏の言葉通りの傑作で、その後2巻が出ると速やかに買って読み、3巻も直ちに買った。ちなみに「直ちに」と「速やかに」では「直ちに」のほうが緊急度が高く、「速やかに」よりワンランク落ちると「遅滞なく」になる。
もともと単行本から入ったので掲載誌のことは全く気にしていなかったのだが、今、奥付をみると『おやすみプンプン』は小学館の「週刊ヤングサンデー」に連載されているようだ。これは困ったことだ。なぜら、この雑誌は来月で休刊が決まっているからだ。
3巻に収録されているのは今年20号までに掲載された分で、ヤングサンデーは35号でおしまいになる*1から、その間15号。『おやすみプンプン』はときどき休載しているようだが、なんとか4巻は出るらしく、3巻の巻末には予告が掲載されている。しかし、どう考えてもあと1巻で終わりになるような内容ではない。
掲載誌を移して引き続き連載が続けばいいのだが、このままヤングサンデーと心中することになれば中途半端な形で終わってしまうことになる。それは非常に残念なことだ。
ところでヤングサンデーといえば、真っ先に思い出すのが野部利雄の『ミュウの伝説』だ。少年誌「少年ビッグコミック」から青年誌「ヤングサンデー」への移行に伴い、アダルティな方向路線転換して崩壊してしまった悲劇のマンガだ*2小学館も罪作りなことをしたものだ。

*1:机上の計算なので間違っていたらごめん。

*2:確か細野不二彦の『東京探偵団』も同様の運命を辿ったと記憶しているが、こちらはちゃんと読んでいないので悲惨な最期を迎えたかどうかまでは知らない。