新聞記事を読むときに注意すること

これからすぐに支度をして東京に向けて出発しないといけないわけだが、ちょっと気になる文章を見かけたため、簡単に書き記しておく。

自動改札が導入されて、キセル乗車というのは困難になったと思ったが、「子ども」の切符を買うという手があったか。ところで、「大人なのに子どもの切符で電車に乗る不正乗車が、JR各線で目立つ」というのは、経済学的に考えれば、JRの運賃は高いぞという消費者様の意思表示ということになるんじゃないか。

さて、日本、特に埼玉県はきわめて治安が良くて平和な場所であろう。ダサイたまっていうな! テロとも通り魔とも無縁な平和な場所。貴重な警察力という資源を薩摩守を捕まえるために費やすのだから。

元記事のasahi.com(朝日新聞社):子ども切符で電車に乗る大人急増、警察が摘発強化へ - 社会はあちこちで言及されているのを見かけた記憶がある。いまはてなブックマークを見ると、194件のブックマークがついている。だが、「JRの運賃は高いぞという消費者様の意思表示」とか「特に埼玉県はきわめて治安が良くて平和な場所」などという奇妙なコメントは見たことがない。
JRより運賃の高い私鉄はいくらでもあるし、自動改札機が導入されているような都市型の鉄道でも、たとえば埼玉県内を走っている埼玉高速鉄道初乗り210円、15キロで460円となっていて、JRよりずっと運賃が高い。では、なんで元記事があんな書き方になっているかといえば、要するに記者の取材先がJR大宮駅だったからに相違あるまい。なぜ大宮駅を選んだかは知らない*1が、この記事から/に、「JRの運賃は高いぞという消費者様の意思表示」または「特に埼玉県はきわめて治安が良くて平和な場所」を読み取る/読み込むのは無理が大きいのではないかと思う。
記者の取材にも紙幅にも限界がある中で、たまたま具体例として採用したエピソードをあまり過大に評価すべきではないということを元記事は教えてくれる。このことから……あ、時間切れ。始発電車に乗り遅れる。

*1:埼玉県警鉄道警察隊の主要拠点が大宮駅にあるのではないかと想像するが、違っていたらごめん。