一迅社文庫2008年12月刊行全3冊の感想

はじめに

一迅社文庫の今月分は比較的読みやすい作品がおおかったので、年越し前に読み終えることができた。せっかくだから感想文も年内に書いておきたい。時間がないので簡単に。

かんなぎ 〜校内ケガレ浄化合宿〜

かんなぎ ~校内ケガレ浄化合宿~ (一迅社文庫 た 1-1)

かんなぎ ~校内ケガレ浄化合宿~ (一迅社文庫 た 1-1)

かんなぎ』は原作のマンガを読んでいないので、設定とか雰囲気とかがあまりよくわからないが、ふつうにノリのいいドタバタコメディとして楽しめた。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の前半部分だけ抜き出したような感じ。あ、そういや、『うる星やつら』も原作を読んだことがないなぁ。

ANGEL+DIVE (3) .LOVENDER

ANGEL+DIVE (3) .LOVENDER (一迅社文庫)

ANGEL+DIVE (3) .LOVENDER (一迅社文庫)

一迅社文庫の看板作品*1のひとつだが、作者の日記の書きぶりから察するに、あまり売れていないようだ。ストーリー展開がゆったりしていて、なかなか核心に入らないのが大きな要因か。
3巻はまさかの純愛ストーリー展開で既刊にも増してテンポが遅くなり、病弱な美少女とプレイボーイのピュアな恋愛がこれでもかこれでもかとねっとりと描かれる。客観的にみれば、どう考えても冗長なのだが、本筋よりもそっちのほうが面白かった。かの葉山響氏の言葉を借りれば「困ったことに面白い」*21冊。
他人には薦められないが、一迅社文庫コンプリートという目標を抜きにしても続きは読みたいと思う。

銀世界と風の少女

銀世界と風の少女 (一迅社文庫 ま 1-1)

銀世界と風の少女 (一迅社文庫 ま 1-1)

ラノベ界の蟹工船一迅社文庫が世に問うた今年最強の蟹小説。オビにも大きく

さあ蟹だ!

と書いてある。
てっきり色モノかと思って読んだが、意外にも真っ当な異世界ファンタジー*3だった。
作中には地雷がごろごろと埋まっているが、『銀世界と風の少女』そのものは地雷ではない

おわりに

今年発売の一迅社文庫は合計28冊。創刊時の7点同時刊行を除けば毎月3冊のペースだったので全冊読破も可能だったが、来年はぼちぼち刊行点数が増えてくるそうなので、正直言って読むのが辛くなってきた。『死神のキョウ』クラスの作品ばかりなら、月10冊でも平気なんだけどねぇ。
そんなこんなで次回に続く。

*1:少なくとも公式サイトではそういう扱いになっている。

*2:ただし、葉山氏が『ANGEL+DIVE』を読んでいるという話を聞いたことはないし、仮に氏が読んだとしても「困ったことに面白い」とはコメントしないだろうと思う。

*3:異世界考証にややぬるいところがあるが、『とある飛空士への追憶』ほどではないので、『飛空士』を読んで気にならなかった人なら心配無用。