地方でクルマがなかなか要らなくならない理由

ブクマで見出しをみて、「ここにはひょっとすると脱自動車依存社会へのヒントがあるのかも」と期待したが、本文を読んでがっかりした。
自家車が通勤と買い物用なら職場とショッピングモールが送迎バスを出せばいい、ということだが、その送迎バスをどこに出せばマイカーを代替できるのか、という問題が依然として手つかずのまま残っているからだ。まさにその問題がブクマでも指摘されている。その指摘と応答を見やすいように上下を入れ換えて引用しよう。

BUNTEN 労働, 交通, 地方 うちとこの某工場地帯sは規模がそれほどでもないこともあってかマイカー前提。職場がバスを出すとしても最寄り駅が激遠ければ駅から出す意味ナッシングなのであった。orz▼地方では線路どころかバスも希だったり。 2009/05/20

fuku33 ベンチャー論, automobile, 消費生態, 三宅秀道 id:BUNTENさん、それではクリエイティブに先を考えましょう。シャトルバスではなく、巡回バスならばそういう地域でもうまくいくかもよ?要はどちらが安くつくか、自動車保有の見栄の部分がどう評価されるかです。 2009/05/20

郊外の住宅地は拡散しており、巡回バスで面的な広がりを持たせたところで、十分に通勤ニーズに応えられるかどうかは疑問だ。巡回経路をきめ細かくすればその分所要時間も増すので通勤には使いづらくなる。また「会社帰りにショッピングモールに寄って買い物を済ませてから帰宅する」というトリップにも対応できない。
送迎バスが有効に機能するのは、やはり駅前からのシャトルバスの場合だろう。その前提としては、もちろん公共交通機関が有効に機能している必要がある。だが、地方においては、まさにその前提が崩れつつあるのだ。
ところで、

社会と自動車の整合性が下落しつつあるとすれば、自動車産業はこの先どう組織能力を磨いても、社会の制約をどれだけ克服できるのだろうか。

この一文は非常に味わい深いものだと思った。「整合性が下落」という言い回しは独創的だし、「どう……ても、……できるのだろうか」という文構造も新鮮だ。