擬人化の問題
図書館資料の里親探し
この事業は、多摩地域の市町村立図書館で“複本があるため除籍された資料”または“寄贈を受けたがすでに所蔵があるため受入しない資料”のうち、各図書館で“市立図書館の基本図書であるため、市民リサイクルより図書館資料として再活用したい資料”を、それを必要とする公共図書館・学校図書館等を探し出して譲渡の仲介を行うものです。
資料価値と資料の受入コスト・保存スペースの間で困っている図書館と、資料費減や入手困難な資料の収集をしたい図書館の間をつなぎ、多摩地域の市町村立図書館をバックアップすることを目的としています。
さて、世の中には、この里親制度があまり知られていないこともあり、ペットの飼い主を「里親」、ペットを「里子」と呼ぶ方たちがいます。「○○ペット里親会」「犬の里親募集」「猫の里親募集」などと、ホームページに案内を載せる方々がいます。さらに、公共機関で「動物の里親制度」や「公園の里親」「道路の里親」と称して、飼い主や管理ボランティアを募集する例もあります。これを受けて、新聞やテレビなどのマスコミも、動物の新しい飼い主を「里親」と呼ぶことに抵抗がありません。
これら、「里親」「里子」の誤使用は膨大な数となり、「里親」といえば、ペットの飼い主のことだと誤解する方も少なくありません。
里親家庭で暮らす子どもたちが、ホームページや広報で、「ペットの里親募集」という言葉を見たとき、どんな気持ちになるでしょうか。「自分はペットと同じように、この家にもらわれて来たのだろうか」「自分はペットと同じなのだろうか」などと、いろいろ考えます。
実親との別離という傷を抱えながら、それを受け容れ、懸命に生きている子どもたちにとり、「ペットの里親」「公共施設の里親」などいう言葉は、あまりに無神経であり、傷口に塩をすり込まれた気持ちになるのではないでしょうか。