ヴァン・ダインもロナルド・ノックスも小説家

どうでもいい話だけど、ふと書いてみたくなったので書いてみる。
ミステリファンの間では、ヴァン・ダインもロナルド・ノックスもミステリ作家として認知されている。彼らが活躍したのは大昔のことだが、今でも彼らが遺した作品の賞味期限は切れていない。日本では代表作のいくつかが文庫で版を重ねている。ちなみに、長門有希の100冊には両者の代表作が1冊ずつ選ばれている。
一方、「ヴァン・ダインの二十則」や「ノックスの十戒」はどうかといえば、これはもう過去の遺物だ。もう何十年も前からまともにとりあう人などいやしない*1。というか、これらをミステリ作家の金科玉条だと考えていた人なんか最初からいなかったんじゃないかと思う。
ともあれ、「二十則」も「十戒」も最近特によく知られるようになってきた*2ので、ミステリに不慣れな人なら、ミステリ界で「二十則」や「十戒」が重視されているかのように勘違いすることもあるのだろう。それはまあ仕方がないのだけど、せっかくヴァン・ダインやノックスの名前を知ったのなら、瑣末なルールに拘らずに彼らの名作を読んでみてほしいと思う。
とりあえず、第一歩は、ヴァン・ダインの『グレイシー・アレン殺人事件』から手をつけるというのは如何でしょう? これは実は名作でも傑作でもなくて、どちらかといえば箸にも棒にもかからない駄作なのだけど、「二十則」を念頭に置いて読むと笑える箇所があるので。

*1:が、全くとるに足らない戯言というわけでもないのが悩ましいところだ。このあたりの微妙なニュアンスはちょっと説明しづらい。

*2:直近では「うみねこのなく頃に」で取り上げられている(らしい)からだが、遡れば島田荘司の『本格ミステリー宣言』あたりからじわじわと言及機会が増えてきたのではないかと思う。