風力発電は是か非か?

ストップ!風力発電―巨大風車が環境を破壊する

ストップ!風力発電―巨大風車が環境を破壊する

会社の同僚に貸してもらって読んだ。その同僚の趣味はバードウォッチングで、そのせいか風力発電を敵視している。この本もそのような関心から購入したのだという。
風力発電については昨今、低周波などによる健康被害の問題が取りざたされる機会が増えてきたこともあり、以前とは風向きがやや変わってきたような雰囲気もあるが、今でも新規建設計画が目白押しで、世間一般ではまだまだ推進の方向動きのほうが強いように思われる。バードストライク健康被害はともかく、自然の山の尾根を切り開いて牛久大仏なみの巨大工作物を設置するのが自然環境によくないことは疑いえない*1と思うのだが、地球温暖化防止のためなら多少の犠牲はやむを得ないということなのだろうか。しかし、風力発電にCO2削減効果がないのだとすれば話は全く違ってくる。『ストップ! 風力発電』の第7章は「風力発電は温暖化防止の役に立たない」と題されており、この問題を論じていて、いちおう理屈は通っているようにみえる。だが、残念ながら十分な定量的分析にまで至っていない。
風力発電を推進すれば火力発電を減らしてCO2を削減することができるのか、それとも風力発電をサポートするために火力発電に頼りCO2排出量が増えてしまうのか、素人には何とも判断しかねる。かといって、誰に訊けば信頼できる解答*2が得られるのかがわからない。運が良ければ、誰かがこの一文を見かけて回答を寄せてくれるかもしれないので、それを期待することにしようと思う。

*1:ついでにいえば環境だけでなく景観にとってもマイナス要因だと思われる。もっとも景観の良し悪しはそれを感じ取る人間の慣れにも依存するので、長い目で見れば問題視するに当たらないかもしれない。このことは以前、少し触れたことがあるので併せて参照されたい。

*2:あえて「正解」という言葉は使わない。環境問題にはさまざまな要因が絡み合っているため、技術の進歩や社会環境の変化により、ある時点では妥当性のあった主張が別の時点では全く効力を失っているということが起こりうるため、数学の計算問題のような唯一無二の「正解」は期待しにくいので。