「意外」と「想定外」の違い

漠然と考えれば「意外」と「想定外」の間にはさほど大きな違いがあるわけではありません。にもかかわらず、想定外の事実を知らされて「これは意外だ!」と言いたくなるような局面はごく稀です。では、どういう場合に人は意外性を感じるのでしょう?
やや逆説的な言い方になりますが、物事が意外であるのは、それが想定の事柄であるときだと思われます。ただし、想定内の事柄がすべて意外なのではありません。「そういう事態もいちおうは考えられる。でも、実際にはそれはまずないだろう」と予測していたのにそれが真相だったと明かされた場合、そこに著しい意外感が生じるのです。意識して予測してはいなくても、想定内の可能性をなんとなく除外している場合にも、同様のことが起こりえます。後者は前者に比べて、意外性がやや弱くなりますが。
要するに、意外性とは予断と事実の落差によって生ずることであると言えます。
逆にいえば、予断をもちにくいような場合、なんでもありの状況では、たとえ事前に想定していなかった事があっても、別に意外でも何でもないということになります。想定外の事実の存在は、単に想像力の限界を示すに過ぎません。
具体的な対象についての意見は後日に回すこととし、今は一般論のみにて失礼します。