それでも天球は廻っている −裏血液型と環境血液型−

東横インの客室においてある客室専用誌「たのやく」10月号恋運暦10月号*1から「裏血液型&環境血液型」という記事が転載されている。
恥ずかしながら、これまで「裏血液型」とか「環境血液型」という言葉を知らなかった。早速調べてみる。

「裏血液型」は意外と多くの用例があるが、「環境血液型」はあまり使われていない言葉のようだ。
「裏血液型」は深層心理、「環境血液型」は周囲の人々の血液型という、素朴な血液型性格判断では考慮しない要素を持ち込むことで、血液型性格判断で示される性格と、実際の性格とのずれを埋めるという機能を持っているようだ。「裏血液型&環境血液型」では両者は別々に扱われているが、理屈のうえでは「裏環境血液型」というのもあり得るのではないかと思う。
「裏血液型&環境血液型」の筆者はジューン澁澤という人で、「血液型錬金術」という占いで有名な人だそうだ。

 血液型診断にしろ、占星術四柱推命などのメジャーな占いにしろ、従来の性格診断は、 あくまで「固定的なもの」でした。しかし、人の性格とは決して一面的で固定的なものではありません。場面により、年齢により、その人の性格は確実に変化するはずです。

また、ひとりの人間と深く関わることにより、その影響を受け、性質に変容が起こったり、対面する相手によって、見せる自分が違ってきたりする、ということも人間関係の中では、多々あることはあきらかでしょう。このような人間の多面性を、従来の占いや性格診断では、取り入れることが不可能でした。しかし、血液型という最もシンプルな性質分類に、錬金術を掛け合わせることにより、その人の性格の多面性や人間関係による変化、対面する相手によって引き出される性質などを、読み解いていくことが可能になります。

それが、まったく新しい占い「血液型錬金術(けつえきがたれんきんじゅつ)」です。

【略】

従来の血液型診断が、「持って生まれた血液型でその人の性格は決定されている」としていたのは、統計的なデータにだけ頼っていたせいでしょう。しかし、考えてみてください。

中学のときは、暴れん坊だった男の子が、「これが同じ人?」と疑うくらい、温厚な男性に変わっているのを見て驚いたり、数年ぶりに会った友人が、まるで別人のようになっていたことはありませんか?人の性格とは、決して固定されたものではないはずです。しかし従来の占いでは、「あなたはこういう性格です。そして運命はこうです」「あなたと彼の相性はこうです。だから、よくありません」というように断定的に語られてきました。お気づきですよね。何か違います。人は変化するはずです。そこまで読み解くことができるのが自己の変容を読み解く「錬金術」なのです。人との相性は、ときと共に変化していく。それを証明するものが、この血液型錬金術です。この占いは、あなたの運命観にセンセーションを起こすでしょう。

従来の血液型性格判断に対する批判としては当を得ていると思われる。
血液型性格判断の難点を克服するためにそこに別の要素を加えるという発想も面白い。
でも、「これって天動説みたいだなぁ」と思ってしまったのも事実。
天動説の歴史についてはウィキペディアレベルの知識しかないためが、単純な理論が観測結果とのずれを説明するためにどんどん複雑化していくさまがよく似ているに思ったのだ。
では、血液型性格判断にとっての「地動説」は何なのか? 「そりゃ当然、心理学だろう」と言いたくなるが、このアナロジーはどうも成立しないような気がする。一口に「心理学」と言ってもいろいろあって、それらがまとまった形で血液型性格判断と対峙しているとは考えにくいからだ。
それはともかく、血液型性格判断がこれからどのように変容していくのかは見ものだと思う。暇があれば関連する話題を扱った本でも読んでみることにしたい。
……と書いたところで、以前、こんな本を買って半分ほど読んだまま放置していることを思い出した。

血液型の科学 (祥伝社新書)

血液型の科学 (祥伝社新書)

*1:ここに見本がある。