「これは餌付けではない」という餌付け

学識経験者といわれる人の中には、「餌付けをしてはいけない」と、言う人もいます。しかし、生きられなくなっている動物に、まして絶滅しようとしている動物に食料を提供することは、決して餌付けなんかではありません。

熊森は、クマ生息地の役場、猟友会、住民のみなさんの御協力を得て、クマたちが集落に入って来ないように、ただ今、集落の外にクマたちの食料をどんどん運んでいます。

これは餌付けではなく、今年のような山の実りの大凶作の異常年、クマを殺さずにクマ問題を解決するための緊急措置です。

いや、それ餌付けだから。
緊急措置だから餌付けではない、というロジックがよくわからない。なぜ、「餌付けもやむなし」と言わないのだろうか? もちろん、そう言われたからといって、そう簡単に「はいそうですか。では餌付けしてください」と首肯することはできないのだが、少なくとも明らかな餌付けを餌付けではないと言い切ってしまうよりはいくらかはましだと思う。
ところで、

今年は、山に木の実ゼロの異常事態が発生しています。

そのため、クマたちが、食料を求めて人里に出てきては、捕殺されています。

これでは、クマが絶滅してしまいます!

クマは多くの地域で絶滅危惧種なのです。

と書いてあるが、「山に木の実がゼロ」とはいったいどのような根拠があって言っていることなのか? 数が少ないというのとゼロとは意味が違うだろう。もし両者を同一視できるなら絶滅危惧種はみな絶滅種だ。
ちなみに、環境省レッドリストによれば現在「絶滅のおそれのある地域個体群」とされているクマは

この6つの個体群だ。ただし、九州ではもう絶滅しているだろうと言われているし、四国のクマもそろそろ個体群の存続ができないくらいに減っているらしい。クマに食料を供給する運動を九州や四国でもやっているのだろうか? ちょっと気になった。