地上はポケットの中の庭 (KCx)

地上はポケットの中の庭 (KCx)

先日、タイトルだけ見て衝動買いした。
非常に印象的だが、いったい何が描かれているのか全くわからないタイトルだ。それが気に入った。
実際に読んでみると、表題作もさることながら、収録作のひとつ「ファトマの第四庭園」にも感銘を受けた。なんだか「ファティマ第3の予言」を想起させるタイトルだが、特に関係があるわけではない。ファトマというのはこの作品に登場する人物の名だが、第四庭園というのが具体的に何を指すのか最後まで読んでもよくわからない。それが気に入った。
この作品集には5篇の独立した作品が収録されているが、どれも非常に完成度が高い。だが、どこがどう面白いのかをうまく言葉で言い表すのが難しい作品ばかりで紹介に困る。「○○が好きな人にお薦め」というような言い方ができればいいのだが、さて、どういう趣味の人に向いているのだろうか? ちょっと想像がつかない。
まあ、自分自身の感性を頼りに本を選んで裏切られなかったのだから他人のことなどどうでもいいのだが、信頼できる読書家の感想を聞いてみたい気もする。

追記

本文を書いたあとでネット上の感想文や書評をいろいろ見て回った。そのうちの2箇所にリンクを張っておく。拙文よりずっと参考になるはずだ。