とある業界の「スティグマ」(順不同)

スティグマというのは、社会学・心理学分野の用語です。

これらの分野では、望ましくない・汚らわしい等の理由により与えられた心理的嫌悪感を意味します。

しかしながら、不動産分野においては、土壌汚染地において汚染除去後も残存する場合がある心理的嫌悪感を指すことが多いです。

スティグマとは、「土壌汚染の存在(過去に存在した)に起因する心理的な嫌悪感により発生する不動産価格の減価要因」と定義することができる。

スティグマとは、もともとギリシアで奴隷・犯罪人であることを示す焼印のことで、聖痕の意で用いられる場合もあるが、英語で「汚点、汚名」という意味。周囲の否定的なイメージや心理的嫌悪感と捉えられる。不動産についていえば、墓地、自殺物件等があげられるが、これまで日本の不動産市場で議論されることは少なかった。

ところが、平成15年2月の土壌汚染対策法の施行等、土壌汚染に対する関心の高まりから、スティグマによる減価という問題がスローズアップされるようになり、現在では土壌汚染地(現在だけでなく過去にあった場合でも)についてはスティグマによる減価が存在するとの認識が一般的になりつつある。土壌汚染に関していえば「土壌汚染がある、または過去にあったということに起因する心理的嫌悪感等から生じる減価要因」がスティグマと定義される。

スティグマ(stigma)とは、英語で「汚点、汚名」といった意味を持つ言葉です。

不動産関係でいうと、土壌汚染がある土地とか、自殺・殺人事件があった部屋等、買主や借主から心理的嫌悪感を抱かれやすい物件がこれに該当します。

(昨今の放射能汚染も含まれると考えられます。)

そしてこのたびの東日本大震災による被災地域に及ぼす影響(地価の減価要因)の1つとしてこの「スティグマ」があげられます。

この場合の「スティグマ」は、「余震・活断層・土砂崩壊等のおそれ・津波の再来・その他の心理的要因に基づく震災後遺症」のことをさしています。

一般財団法人日本不動産研究所による「東日本大震災に関する土地評価」から引用)

【略】

被災地域ではないのですが、今後の不動産鑑定評価にあたって、「被災地域以外におけるスティグマ」という減価要因も検討した方がいいのでしょうか。