空家を壊せば空地がうまれる

例の武雄市新図書館構想関係で武雄市長物語を見ていたら、図書館とは全然関係のない話題で、面白いことが書いてあった。

以前、blogにも書きましたが、この空家対策条例案。この空家に関しては、私が言うまでもなく、あちらこちらで問題になっていますが、犯罪、放火、倒壊の温床になっている一方で、それが放置しやすい環境になっています。すなわち、日本の税制の問題になるんですが、この空家に関しては著しく税金(固定資産税)が安い、また、これもまた都市開発関係の法律の問題になるんですが、極めて再利用しにくい、というかできないことになっています。

【略】

発起人として、申し上げたいのは、まず、「勧告」などといった腰抜けの宣言的意味合いの強い「事勿れ条例案」は作らないということ。そして、極めて、実効性の高いものにしたいということ。行政代執行による強制解体、基礎自治体費用による解体補助費などを盛り込みたいと思っています。

で、ちょこっと調べてみたところ、

埼玉県所沢市が2010年7月に全国で初めて空き家条例を制定し、2010年10月1日に施行された[4][5]。

都道府県としては和歌山県が2011年7月に初めて制定し、2012年1月1日に施行された[6]。

2012年1月に条例を施行した大仙市では、家屋倒壊の恐れがあり、強風時に危険があるとして所有者へ勧告、措置命令が出され、その後、行政代執行による家屋の解体が行われた[7]。2012年時点で全国16都道府県の31自治体で制定されている[5]。

全国初の所沢市空き家等の適正管理に関する条例をみると、まず助言または指導を行い、従わない場合には勧告、勧告にも従わない場合には命令、命令にも従わない場合には公表、ということになっている。命令に従わない場合に強制撤去ができるという規定はないが、行政代執行法に基づき強制撤去することは可能だと思われる*1都道府県初の和歌山県景観支障防止条例*2では、勧告と命令の2段階となっているが、景観支障防止条例|和歌山県ホームページには「行政代執行も可能」とはっきり書かれている。
勧告だけで終わりにするなら確かに「事勿れ」かもしれないけれど、いきなり命令するのは角が立つから先に勧告するというのであれば「腰抜け」とまでは言えないのではないかと思う。ともあれ、「全国のロールモデルとなる実効性のある条例案を作りたいと思います」ということなので、どんな条例案が出てくるのか興味津々だ。どうせなら、空家を撤去した後、どう活用するのかまで見据えた制度設計だといいのだけれど。

*1:行政代執行法第2条を素直に読めば、法律の委任に基づかない条例の場合はどうなのか、という疑問が出てくるが、いちおう大丈夫らしい

*2:正式には「建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例」。まだ施行されて間がないので和歌山県例規集には掲載されていなかった。